東海道新幹線のユニバーサルデザインについて考える
ジェイです。
新幹線通勤をするようになってかれこれ13年(途中3年弱のブランクあり)。出勤時は毎度着席できるのですが、帰宅時はほぼデッキに立ったままというのが常。本数が少ないから「こだま」自由席は意外に混むのです。
まあ15分のみなので全然気にならないのが新幹線のいいところ。
帰宅時には好んで11号車の12号車側デッキに立つのが僕のお気に入りなんですが、ここに立っているとかなりの頻度でトイレの扉を開けられない乗客に遭遇するのです。
11号車に設置されているトイレは下の写真のように障害者の方も使えるような広いタイプのもの(通常タイプも通路部分に設置)。そしてこのトイレは扉がボタンを押下するタイプなんです。つまり手動では開けられないタイプ。
この写真のように、扉左側に開けるための緑色の大きなボタン(ボタン内には"< >")、そして赤色の大きなボタン(ボタン内には"> <")。日常的に新幹線を使っている僕にとってはとても見慣れたもので、とてもわかり易いと思っていたのですが、10人に2−3人程度の乗客が手前の取っ手に手をかけて必死で開けようとし、そして諦めて立ち去るんです。
なぜだろう?と考えてみたのですが、そもそも自動ドアなんだから取手をつけなきゃよかったんじゃないのかなと思うのです。緊急時の対応などで、取り付けが義務付けられているとかなのかもしれませんが、自動ドアなのに取手があるから手をかける人が発生するのではないか。
またもしかしたらこの取手至近に添付されている「自動ドア開閉ボタン」というシールが勘違いを生んでいるのではないかな。トイレ行きたい!って気持ち追い立てられるようにやってきて、シールになにが書いてあるかなんて読まないだろうから、取手のすぐ右側に「←」があったら「あ、ここを引くんだな」って思うんじゃないのかなと。
僕の個人的な調査なので正確ではないですが、見ている限り20−30%くらいの方が扉を開けられずに退散していきます。JR東海さん、これは由々しき問題かもしれませんよ!だってトイレ使いたいのに使えないんですからね。
あと、この自動ドア、中から「しまる」ボタンを押せば鍵がかかる仕組みになっているのに、物理的な鍵も設置されています。物理鍵がある以上、心情的には扉が閉まったあとに鍵をかけたくなるもの。しかしそこに新たな落とし穴。安全設計のためだとは思うのですが、扉が完全に閉まり切る前に扉に触れてしまうと、扉が再び開いてしまうのです!だから、慣れていない方は…
- 中に入る
- 閉まるボタン押下
- 扉が閉まり始める
- 閉まり切る前に鍵に触れる
- 扉が開く
- 2に戻る
という無限ループに陥ることになるのです。
普通に使える人がいるのも事実ですが、20−30%位の割合でトラブルに巻き込まれる人が出てくるってのはちょっと考えものじゃないのかな。
ちなみに、このトイレの対面にあるのが多目的室。こちらは車椅子の方や、気分を悪くされてしまった方、赤ちゃんへの授乳など、特別な目的で使われる場所なので車掌さんの許可なく入れない場所なんですが、見た目はほぼ同じ。
だから、トイレの扉を開けられなかった20%程度の方のうち、更に20%くらいの方が多目的室をトイレと勘違いして同じトライをし、更にそのうちの5%くらいの方が悪態をつきながら扉を蹴るという状況になっています。
誰にでも容易に理解できるデザインってのは本当に難しいものなのですね。